笑わない王様
その場がシーンと静まり返る。
いやいやいや!!
語弊があるって!
「突き飛ばしたなんてそんな!ただ力余って…」
「あ~。あのときの女ね」
今度はさっきの女の子が口をはさむ。
何なんだこの人たち…
人の話全く聞いていない…!!
「ゆず、もう行こう」
私の横にいた深月が小さく言った。
「そうだね」
相手にしてる場合じゃない。
勝手に話をすすめて誤解するならすればいい。
不安そうな深月を見て、私はそう思い理科室へと足を進めた。
その時…
―ドンッ
「きゃっ」
私は勢いよく廊下に転んだ。