笑わない王様
後ろから誰かに押されたのだ。
目の前には下りの階段。
一歩間違えれば…
「ゆず!大丈夫?」
「いった…」
深月が慌てて私を起こしてくれる。
頬を少し擦りむいて熱かった。
「ああ、ごめーん。”勢い余ってさ”~本当ごめんねぇ」
後ろからクスクスと笑い声が聞こえる。
どうしてここの学校は…。
私は振り返り、その女を睨んだ。
こういう卑怯な人間が一番嫌い。
「何その顔。また痛い目みたいの?」
釣り眉の女が今にも殴りそうに拳をあげて私に近寄ってきたとき――…
「ハイハイ。もう終わり~」
その女の後ろから碧くんが現れ、女の腕を掴んだ。