笑わない王様
「お前、誰に口きいてんだよ」
ざわついている廊下の中、その声ははっきりと聞こえる。
遠くから見たら死角になっていて見えなかったけど、近づくとみんなが怯えるその人物がわかった。
身長が高くてスタイルがよく、髪はとても明るい金色。
耳にはいくつかのピアスもあいている。
制服はもちろん着崩されていた。
「おい立てよ。まだ殴り足りてねーんだけど」
「ゆっ、許してください!そんな…相手が萩原さんだと思わなくて…!悪気はないんです!」
「しらねーよ、んなこと。結果が全てだろ」
「違うんです!本当に!すいませんっ…」
「なあ、何回言わせる気?さっさと立て」
この金髪の人を初めて見たけど、その怖さは十分に伝わる。
倒れている男の子は周りに必死に助けを求める。
しかし周りはその光景を見ているだけで、助けようとはしない。
なんなのこれ…?
「最後だ。…………立て」
今までで一番低い声を出した金髪の人だけど、倒れている男の子は腰を抜かしているのか立とうとしない。
その代り必死に謝っている。
「すいません!すいません!」
この異常な光景を見ていると、頭がおかしくなる。
胸がざわつく。
気持ち悪ささえ出てくる。