笑わない王様


机の中を覗くと、案の定携帯が入っていた。


あ~あってよかった。

それにしてもなんで机の中に携帯入れたんだろう…。


深月にも悪いことしちゃった。



陽が真っ赤になって、教室がオレンジ色になる。

すごく特別な感じがした。


早く帰らなきゃだめなのに、足が止まってそのままぼーっとしていた。


誰もいない放課後の教室はこんなにも素敵なのに。


日中の校内は冷めていた。


私、この学校でやっていけるのかな…。



急に胸が締め付けられて弱気になっていると――




「なにしてんの」


低く冷たい声が聞こえた。




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