笑わない王様


シーンと静まる教室。


「あ~!汗やばい!タオル教室に忘れるなんてさ~」


突然廊下から誰かがこっちへくる声がした。


なぎは私の頬から手を離し、「わりい」とだけ言って教室から出て行ってしまった。


なぎとすれ違いに、体操着の女の子ふたりが入ってくる。



「うわっ……ビックリしたあ~…」


「萩原さんカッコいいけどやっぱ怖いよね…」



女の子たちはすれ違ったなぎの話をしている。

だけど私の存在に存在に気づいて、あっと声を漏らした。


「た、タオルあった!い、いこっか…」

「そ!そうだね!」


明らか様にぎこちなく女の子たちは教室から出ていこうとした。


「あっ、待って」


この子たちも萩原教の信者なのだろうか…。

私はふたりを思わず引き止めてしまった。



「な、なんですか…?」


彼女たちと私の間に、不思議な距離を感じる。


それは私が転校生だからなのか…


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