笑わない王様

「ただいまー」

さすがに駅に着く頃には涙も止まって、私は平然と家に帰った。


「ゆず!!何してたの〜!遅かったじゃない!心配した!!」


リビングにいたであろうお母さんが慌てて玄関にやってきた。




「あ、ごめん…携帯を忘れちゃって。取りに戻ってたの」


「もう〜そんなことなら帰りにメールくらいしてよ〜!」


お母さんはプンプンしながらまたリビングへと戻っていく。

私は靴を脱いで後をついて行く。


「あ、手洗いなさいよ〜」


「ねえお母さん」


私は椅子にカバンをおいてリボンを取りながら料理をしてるお母さんに問いかける。



「なぎがいた」

「え〜?」


「なぎさ。昔こっちに住んでた時、仲良かった男の子だよ」


「あー!!!!」


お母さんはなぎのことをわかったみたいで、料理していた手を止めわざわざこっちを振り向いた。

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