笑わない王様

「すごい偶然じゃない!!」

「う、うん」


でも今日あったことを言うのにはやっぱり抵抗があって、この話もこれで終わりだろうと思っていたら…



「懐かしいわねぇ、なぎさくん!なぎさくん、ゆずのこと大好きだったでしょ?」


「さあ、どうだか…」


「何言ってるの~。引っ越す前日の夜、わざわざなぎさくんが家に来たのよ。ゆず居ますかって」


「え?」


お母さんはエプロンをとり、椅子に腰を掛ける。

そして昔のことを愛おしく懐かしみながら話しだした。


「結構夜遅くて、ゆず寝てたからそう伝えたのよ。そしたらなぎさんくん……そうだ!手紙よ!」


私にはお母さんが何を言っているのかサッパリわからなかった。


なぎが夜遅くに来た?手紙?



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