笑わない王様


『裏切ったお前はどうなんだよ』


再会した今朝、なぎは確かにそういった。

なんで私はその一言で気付かなかったんだろう。


引越しはどうしようもなくて仕方のないことだけど、小さい頃のなぎにとっては裏切られたも同然だ。

なぎは孤独で、泣き虫で、私しかいなかった。


そのことを知ってたのに…。


どうして十年経って、私は忘れけかけていたんだろう。

こんなにも大きなことを。


『これがなぎのしたかったことでしょう?』


違う。

そうじゃない。


私が――……







――私が今のなぎを作り出したんだよ。



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