笑わない王様
「人に説教できる立場じゃねぇだろ」
それだけを残してなぎは私の前から立ち去ってしまった。
裏切る…?
私がなぎを?
そんなことするわけないのに…。
「勇者誕生?」
「へっ!?」
突然後ろから声をかけられて驚き振り向くと、マッシュヘアのおしゃれな男の子が立っていた。
「なわけないか。なぎさと知り合いみたいだね」
にっこりと私に笑いかけるこの人の笑顔は…どこか違和感を感じる笑顔だった。
「知り合いっていうか、昔よく遊んでたんです」
”なぎさ”と呼ぶくらいだから、きっとなぎの友達だろう。
「あー、幼馴染ってやつ?」
「……」
幼馴染…なのかな?
でもあの態度…なぎは私がキライみたいだった。