永久に愛を誓う

その夜千花はこちらの世界に来たときに着ていた浴衣を着た。
白地に薄い紫で牡丹が描かれている。帯は濃い紫だ。髪も項が見えるように結い上げた。

「斎藤さん、いいですよ。」
千花が着替えるまで部屋の外に出ていた斎藤に声をかける。
スッと襖が開き、斎藤が入ってくる。
入ってきた斎藤は身を見開く。
「どうですか？」
と千花が聞くと、
「よく似合っている。」
と目をそらしながら答えた。ふふっと笑いながら、千花は
「行きましょうか。」
と廊下にでようとした。すると、
「ま、待て！」
と斎藤が止めた。何かと思うと、斎藤が懐に手を入れ、一つの簪を取り出した。
「これを。きっと似合う。」
と髪に挿してくれた。斎藤のくれた簪は小さな花がたくさんついているもので、キラキラしてとてもきれいだ。
「ありがとうございます。」
と言うと、
「お前の名前にも合うと思い、それにした。」

～幾千もの花が咲き誇るような君へ～

そして斎藤はまた顔を赤くした。