永久に愛を誓う
次の日、私は寝ていた部屋で朝食を頂時間き、昨日斎藤と呼ばれていた方に家に送ってもらうことになった。
‥私は少しずつ違和感を感じ始めていた。でもそのことに気づかないふりをしたかったのかもしれない…
「支度はできたか?」
襖のむこうから声が聞こえる。
「はい。斎藤さん。」
私は答え、襖をあける。では参ろう。と斎藤さんは歩き出した。朝食も斎藤さんが持ってきてくれ、今日は非番ということで私を送るよう土方さんに頼まれたという。休みなのに申し訳ない…。
それにしても昨日は泊まってしまって、母さんに怒られるかななどと考えながら家の外にでる。
…と考え事をしていたため、いきなり止まった斎藤さんの背中にぶつかった。
どんっ!
「すいません!」
私は慌てて謝るが斎藤さんは特に気にしていない様子で、
「ところでお前の家はどこらへんだ?」
と聞いてくる。
私の家は、
「月夜未(ツキヨミ)神社の近くです。」
と答えると、
「そうか。」
と歩き出す。その斎藤さんについて私も歩く。
しかし、
不安ばかり大きくなる。みたことのない風景が続く。そればかりか、すれ違う人がみんな着物で、街並みも時代劇に出てくるような感じだ。
昨日神社のお祭りに行っていたため、千花はゆかたを着ているがいつもの洋服だったらとても浮いてしまっただろう。
「もうすぐ月夜未神社だが?」
斎藤さんが振り返る。
「………。」
私の家があるべき場所には、何もない。
「どうした?」
無言の私を斎藤さんが覗き込む。
「…………私の家がありません。」