複雑な恋愛の先には(仮)

出会い



ガラガラとドアを開けて、覗くとそこには本棚と机、椅子しかなくて、人は誰もいなかった。





よかった………誰もいない。





私は図書室へ来ていた。
サボりたい時や、暇な時にここに来ると凄く安心する。





でも、ここじゃ思いっきり泣けないから、私は奥の方へと進む。





「やっぱり、ここは落ち着くなぁ……」





ほとんどの人は寄り付かない、古本置き場に私は来ていた。





ここなら、思いっきり泣ける。
辛い気持ちを出せるんだ。





ソファーに腰をかけ、溜め息を吐くと、涙が溢れてでた。





「何でっ……私なんだろ………
たいちゃんなら、もっと良い人いるはずなのに………
たいちゃんの、バカ………」





涙が、だんだん止まらなくなってきた。
泣きすぎだとは思うけど、止まらない。


人がいなくてよかった……
なんて、思っていた










「………………そんなに辛いの?」





「えっ……?!」





「えっと……そんなに泣いてるから、凄く辛いのかと思って。」





私と同じくらいの背の男子が、私の顔を覗きこんでいた。





「……………えっと」





「俺、あんまり女子の気持ちとか、解らないけど………」





「へっ……!?」





男子から頭を撫でられた。
女子っぽい手で、凄く優しく撫でられていた。





「あんまり、無理しない方がいいと思う。
泣きたいときは、泣いた方がすっきりする。」





「………………っ〜」





さっき以上に、涙が溢れた。
ポロポロと涙が、男子のシャツに小さなシミをつくっていた。





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