コンビニの彼
忘れ物
午後の授業は主にグループワークだった。
それぞれ与えられたテーマについて適当に寄せ集めたメンバーで話し合った。
昼食は結局全部は食べきれず、しかも急いで食べたことによる胃もたれのおまけもついた。
なので、グループワークにはほとんど参加せず、皆が話し合っているのを、ただボーッと聞いていた。
食べたあとは眠くなるし、やる気も起きないし。
それに今日も17時からバイトが入っていた。
あのヤンキー、今日も来るのかな。
来たら何て言ってやろう。
あたしはそんなことを考えながら午後の授業を過ごした。
* * *
あたしは深いため息をついた。
奴はやっぱりいた。
入口前の駐車場の前にペタリと座り込んで煙草を吸っていた。
「ああいうの困るんだよね〜。店の前でああいうガラの悪い子に居座られるの…。」
店長はレジの前に立って腕を組んだ状態でつぶやいた。
どうやらあたしが来るずっと前からいるようだ。
明らかに外見は未成年だし、そんなに前からいるっていうことは、学校には行っていないのかもしれない。
「店長、あの人はいつからいるんですか?」
一瞬あいつ呼ばわりしそうになったが、意識してそれを引っ込めた。
「15時くらいからいたかな?ずっとあそこに座って煙草ふかしてんだよ。…全く…。」
”いい迷惑だよ”と語尾につきそうな言い方だった。
「そうなんですか。」
あたしは空になった品だしのケースを両手に持ったまま、奴がいるであろうその方向を見た。
ある1ヶ所で白い煙りがフワフワと立ち込めている。