コンビニの彼
猿は軽く肩を落としながらため息をつき、口を開いた。
「……妹とかじゃねぇよ」
何か逆に素直すぎるこいつも気持ち悪い…。
いやいや、そんなことは別によくて。
せっかく猿が話す気になってくれたんだから、今は黙って話を聞こう。また生意気な口叩かれたら、お互い気分悪いしね。
あたしが真剣に話を聞こうとした時、猿は思いもよらない言葉を吐いた。
「…実はオレもこいつとは会ったことねぇんだよ」
「…はっ!?」
「…声がでけぇよ」
…そりゃ声も大きくなるさ!
だって知りもしない人の手帳を今まで大事に持っていたってことでしょ?
…何で?
”妹じゃなくて、…想い人かもよ”
ふと、真須美の言葉が脳裏に過ぎった。
…まさかね…。