コンビニの彼
「じゃあ早速、不良くんに連絡したら?」
「連絡?」
「どうせまた知らずにコンビニで待ってるんでしょ?」
「それがまだアドレス交換してないんだ…」
「え、そうなの?」
いくら協力すると言ったからって、コンビニに来た少女に手帳を返して、恋人の有無を聞けばいいだけだと思ってた。
…まさか猿と連絡を取り合う仲になるとは考えてもいなかった。
「じゃあこれを機にアドレス交換しちゃえば?」
「え〜猿と〜?」
「それが嫌だったら最初から協力なんてしなきゃ良かったじゃない。
アドレス交換しとけば、何かあった時にすぐに連絡出来るじゃん」
「そうだけど…」
確かにそうなんだけどさ……。
あの猿とあたしがメールとか電話をするなんて、
…何か想像がつかない…。
「会う度に作戦練ってたら、時間がもったいないと思うけど」
「そう…だよね」
街で少女を見かけた時とか、猿のアドレスを知ってたらすぐに連絡出来るもんね。
それに…考えたら
あたし、猿のこと何も知らないんだよな。
猿はあたしの名前くらいは知ってるけど、あたしは猿の名前すら知らない。
年齢だって。
別に知って得するわけじゃないけど、協力するわけだからそれくらい知ってても、おかしくないよね。
昼休み終了のチャイムが鳴り、あたしは真須美にお礼を言って自分の席に戻った。