コンビニの彼




猿は黒いTシャツにジーンズという格好で、首元にはシルバーのネックレス。

耳にはいつも通りたくさんのピアスをしている。

そして少し気合いを入れたのか、金髪の髪をワックスで固めている。


髪、ピアス、ネックレスがそれぞれ違う色の光を放っていた。




そして、いつものスウェット姿ではないからか、猿がいつもより格好よく見えた。





あたしとの距離が5Mくらいになって、やっと猿はこちらに気付いた。



「ああ、お前か」

あたしを捉えた猿の目が一瞬静止した。そして素っ気なく前に向き直り、そう言った。


「何よ、その言い方。偉そうに」

「時間前に着いたじゃねぇか」

「それはこっちのセリフ!あたしはあんたの方が遅れてくると思ったわよ!」

「オレは約束は破らねぇよ」


猿は小ばかにしたような目をあたしに向け、ニヤリと笑った。


あたしは猿の態度にムカッときたが、猿の態度の悪さは今に始まったことではない。



「どうせこの子と会うのに緊張して早く着いただけでしょ」

「うっせぇな!違ぇよ!」


さりげなく言ったセリフに猿はホームに響くほどの声で怒鳴って反論した。




…分かりやすい奴…。





< 33 / 44 >

この作品をシェア

pagetop