コンビニの彼
そして駅に着いた。
あたしが通う学校と反対方向なため、この駅には初めて降りた。
それなりに大きな駅で北口と南口と2つ改札があった。
あたしと猿は周辺地図をみて場所を確認し、バスロータリーに向かった。
少女のいる学校に行くバスの時刻表を確認してみたら10分に1回の割合でバスが来ているようだ。
次のバスはあと5分後に来る。
あたしたち以外にバスを待つ客は2人いた。
1人は買い物袋を両手に下げた主婦らしき女性。
1人は杖をついたおじいちゃん。
「どう?緊張する?」
さっきから何も言わず、あたしのあとをついて来る猿に聞いた。
「別に」
ブスッと不機嫌な顔をして、走るバスを眺めながら猿が言った。
本当は緊張してるくせに、強がっちゃって。
あたしはクスリと笑った。