コンビニの彼
バスから降りた、その目の前に学校のグラウンドがあった。
テニスボールを打つ音やトランペットなどの管楽器の音が聞こえる。
「部活みんな頑張ってるね」
「……」
「あたし、中学の時バスケ部に入ってたんだ」
「…あっそ」
「…チームメイトと衝突してばかりで上手くいかなくて、結局すぐ辞めちゃったんだけどね」
楽しそうに部活をしている中学生たちを見ていたら、自分の中学時代の思い出が蘇ってきた。
あたし、こんな風に部活を楽しくやってたかな…。
あたしは中学生たちから目を反らした。
中学時代は引越して来たばかりで、なかなか友達が出来なくていつも淋しい思いをしていた。
いつも周りの視線を気にしていたから、バスケは好きだったけど心から楽しめていなかった。
中学生たちの姿がキラキラ眩しくて、あたしは目をつぶりたくなった。
「…何でそんなことをオレに言うんだよ」
あたしは猿の声にハッとした。
いつの間にか中学時代の思い出に浸りすぎていたようだ。
「ううん、何でもない。気にしないで」
あたしはニコリと笑い、手を振った。
本当だよ。
何であたし猿にこんな話してるんだろ。
猿とあたしは全くの赤の他人なのに。
それに今は少女を探すことが大事。
目的を忘れるところだったわ。