コンビニの彼
「何、バイト中にイチャイチャしてんだよ。うぜぇんだけど。」
500mlのペットボトルをカウンターに乗せた、髪を金に近い茶色に染めた男が不愉快そうに立っていた。
歳はあたしと同じくらいで、よく見ると両耳にこれでもか、というほどのピアスをぶら下げていた。
ヤンキーだ!!
「あ、…すいません!」
早田は焦りながらカウンターのペットボトルを手に取った。
男は、決して手際が良いとは言えない早田の動きにイラついた様子で眉間に皺を寄せた。
うわ〜…何か怒ってる感じ…。怖いな〜…。
早く帰ってくれないかな…。
あたしははっきり言ってヤンキーは苦手だった。
あたしの友達の中にもヤンキーはいるけど、それは慣れ親しんだ友だから恐れを抱くことはない。
見かけで人を判断するのは間違ってると思うけど、…こう不機嫌な態度をとられると思いたくなくても思っちゃうもんじゃない?
まぁ、怒られるようなことをしたのはあたし達だけどさ…。
「あ゙あ゙!?何見てんだよ!?」
男が更に眉間に皺を寄せてジロリと私を睨みつけた。
無意識にあたしは男を見つめていたようだ。
しまった!見すぎた!?
あたしはすぐ目を反らした。
が、そう実行に移した頃にはもう遅い。男はあたしの顔、体、全身をジロジロと見ていた。
完全に絡まれた!ヤバイ!!
あたしが男を見ないように早田の方を見た。助けを求めるように。
しかし、その間も早田はトロトロとレジ打ちをしていた。