too cute(可愛すぎる)
柔らかい肉に顔がほころぶ。


「美味しいな」


「うん。美味しい」


馴れないフォークとナイフ。
食欲がそんな事忘れさせ次々と肉を切り口に運ぶ。


「こちらラズベリーソースのムースでございます」


最後にデザートとコーヒーが運ばれてきた。


スプーンでプルプルのムースをすくう。
さっぱりとした甘さで口の中でとろけていく。


コーヒーで締めて席を立った。


「ごちそうさまでした。美味しかった」


「どういたしまして。終始、笑顔だったな」


「あんな美味しい肉、いつぶりだろう。また、来ようね」


「美紗の奢りで特上ステーキな」


「だったら別の人と来よう」


「ったく。俺が特上ステーキ奢ってやるよ」


じゃれあいの売り言葉に買い言葉。


「お腹いっぱい。ちょっと歩こうか?」


一つ先のバス停まで歩いた。


「寒くないか?」


「ううん。大丈夫」


「…俺が寒い」


そう言って私の肩に腕をまわしてきた。
素直に本宮の行動を受け入れる。


「珍しいな。文句言わないなんて」


「…本宮が寒いって言うんだからしょうがないでしょ。私だってそんな薄情じゃないし」


「美紗。あったかい」






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