too cute(可愛すぎる)
綺麗な夜景が見えるところがあるんだ。と本宮が言ってバスを降りて15分くらい歩いたかな。
川縁の散歩コースに来た。


川の向こう側。
ビルのヒカリと車のライト。橋の縁がカラフルなライトで点滅してる。


キラキラしてて一人で見たら悲しくなるかもしれない。


「綺麗すぎるね。見いっちゃう」


「だろっ。1時間くらいボーって見てた事がある」


「よく来るの?」


「たまーにな。最近は来てなかったけど」


「ふ~ん。…一人で?」


「ああ」


「ふ~ん」


前の彼女と来てたんじゃないの?
本宮の見えない過去にヤキモチ妬いてる。


「落ち込んだ時よく来てた。…一人でな」


「ふ~ん」


一人を強調する本宮に軽く返事した。


本宮の特別な場所。
誰かと見たのかな、この夜景。


隣にいた本宮が私の後ろに行き優しく抱き締めた。


「今は美紗がいるから。落ち込んでも帰れば美紗がいるから」


「…うん」


過去は過去。
割り切らなきゃね。
今、一緒に夜景を見てるのは私。


「美紗。寒くない?」


「…寒い」


強がり言わずに甘えた。
クルッと私の向きを変えて前から抱き締める。


「あったかい?」


本宮の温かさが伝わる。


「…うん。…だけど夜景が見えない」


やっぱり照れるね。
冗談言って照れを隠す。


「これから何回も来ればいいだろ。…二人で」


本宮も照れた感じでそう言った。





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