too cute(可愛すぎる)
本宮が後ろに立ち髪の毛を櫛でとかす。


「切るぞ」


「うん。お願いします」


約束通り日曜日に髪を切ってくれた。


洗面所に椅子を持って来て下にはレジャーシートを敷いて準備万端。


何ヵ所か、ピンで持ち上げて中から切っていく。シャキシャキとハサミの音がしながらパサッと髪が落ちる音がした。





『大体これくらいの長さで』


注文を言って


『だったらバッサリいっていいんだな』


軽い打ち合わせをしてハサミを入れた。





「ハサミどうしたの?」


「母さんに貰った奴」


「お母さんって美容師なの?」


「ああ。今も現役。美容師って年齢関係なく働けるしな」


「へぇー。本宮から家族の話し聞くの初めてだね」


「そうだったか?
今は姉貴と一緒にしてる」


「お父さんは?サラリーマン?」


「父さんも美容師だった。俺が高校の時亡くなったんだ。だから姉貴が継いだって感じ」


「…そうなんだ。ごめん。なんにも知らなくて」


「なんで謝るんだよ」


「だって…」


「俺も美容師になろうって思ってたんだけど母さんが反対してさ。まぁー、反対って言うか俺には大学行って欲しいって言って。大学行ってる間に姉貴が免許採って後継いだから。それで美容師になり損なった今の俺がいるって訳」


話しながらも手を動かし髪を切っていく。








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