too cute(可愛すぎる)
「食べ終わったら買いに行くか?」


「私買ってくるよ」


「…俺も行く」


近くだからいいよ。って言ったのに一緒にマンションを出る。


「寒い…。マフラーしてくれば良かった」


本宮が独り言のようにつぶやいた。


「部屋で待ってれば良かったのに」


「…」


無言で私の手を取りコートのポケットに入れた。ポケットの中でギュッと手を握る本宮を見る。


「ちょっと、歩かないか?」


前向いたまま本宮が言った。


「寒いんでしょ?ケーキ買って帰ろうよ」


「…いいから」


有無を言わさぬ言い方。
ズンズンと進む本宮に引っ張られて私もついていく。


マンション近くのコンビニを通り過ぎてまだ前へと歩く。


「ケーキは?」


「帰る時に買うから」


いつもと違う本宮を不思議に思いつつも
街の華やかさに心がウキウキしてくる。


「見て、凄くない?」


商店街の街路樹にしてあるイルミネーション。


「ああ。綺麗だな」


綺麗って言う割には感動が少ない気がするけど。


口数が少ないし。
何かあったのかな?


「今日、仕事で何かあったの?」


「別になんにもない」







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