too cute(可愛すぎる)
結婚式を一ヶ月後に控えた10月の大安吉日。
ちょうど、祝日で仕事は休み。


「準備出来たか?」


「うん」


「もうちょっとオシャレしろよ」


デニム姿の私を見て本宮が言う。


「シンプルが一番オシャレなのよ」


「それは一流のモデルが言う言葉だろ」


「いいの。ジャーン。これがあるから」


左手をグーにして本宮の目の前に出した。






『美紗。渡したいモノがある』


小さな箱。
本宮に結婚の意思を伝えた日にくれた婚約指輪。


去年のクリスマスイブに渡すつもりだったと打ち明けてきた。


『ごめん。本宮の気持ち傷つけたね』


『いつか、渡せるって思ってたから気にすんなよ』


『つけてくれる?』


差し出した手にゆっくりとはめてくれた。







「用紙、持ったか?」


「バッチリ」


婚姻届。
今日、役所に二人で出しに行こうって決めていた。


「美紗。約束守れよ」


「約束って?」


「結婚したらいいって」


「…わかったわよ」


ニタニタ顔の本宮を横目にバッグを持つ。


「行くよっ」


ドアを開けて出掛ける。
今度、ドアを開ける時は夫婦になってる私達。









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