青春のひだまり。
「プロローグ」それはきっと、偶然なんかじゃなくて
「あ、あの…」

「三村くん…だよね?」

今日は部活がなくなったので、帰りは一人だ。少し静かだなといつもの帰り道を歩いていると、自分を呼ぶ声がした。振り返ると膝に手をつき、息を切らしている少女がいた。

「うん。そうだけど」

「よかった。これ、落としてたよ」

そういうと彼女はカバンのなかから定期を取り出し、俺に渡す。自分のカバンを確認すると定期がないことに気づく

「わざわざ俺のこと探してくれたの?」

「うん。拾ったとき、定期だったからないと困るかな、と思って…」

そう言って彼女は静かに微笑んだ

…かわいい。さっきまで下を向いてたから見えなかったけど今はよく見える
…じゃなくて、学校からそんなに離れてないとはいえ、他人のためにここまで一生懸命になれるなんてすごいな…

「えっと…ありが、とう」

お礼を言うのはなれてない。なんだかむずがゆい気分だ

「いえいえ、全然」

そう言って、彼女は少し照れながら、また静かに微笑んだ
…なんだろう。心臓が、すごくうるさい

これが俺と彼女、森山千夏の出会いだった

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