杉浦くんの手と私の手。

なっちゃん

ジリジリジリッという軽快な音が聞こえて私は目を覚ました。


私は朝起きると真っ先に右手の甲に絆創膏をはる。


これは私の封印だ。


私はその絆創膏のはられた右手の甲を見るたびに、安心するのと同じくらい虚しくなる。


それでもこの絆創膏をはらないと私は生きてはいけない。


私は制服に着替え、右手の甲をギュッと握るとドアを開けて階段をおりた。


するとちょうどリビングからおばあちゃんが出てきた。


白髪混じりの髪の毛を手でなでつけながら、おばあちゃんは私におはようっと言った。


そんな何気ない挨拶が嬉しくて、私もおはようっと言った。
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