杉浦くんの手と私の手。

杉浦くんと言う人は。

学校の窓からボケーっと、運動場を眺める。


今は数学の授業中。


でも数学の問題を解き終わって暇になってしまった。


私はようやく見慣れた運動場を眺めながら思った。


私、上本キヨが祖父母のいるこの町に来て1ヶ月が経ったんだと。


町と言っても何もない田舎町。


でもそんなこの町を、私は1ヶ月前まで自分がいた街より愛している。


私の転校して来た高校は、町にゆういつある小さな高校。


クラスのみんなは小中高とずっと一緒だから男女の仲も良い。


何よりみんな、すごく温かい人たちだ。


私みたいなよそ者が来ても、みんなが歓迎してくれた。


1ヶ月経ってようやく私はこの町全体に慣れて来た。


なにより学校は居心地も良い。


そして何より……。


ポトッ。


私がボケーっと窓の外を眺めていると、そんな小さな可愛い音が机の上から聞こえた。
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