杉浦くんの手と私の手。
今までの私の夏休みは、ただひたすら長い地獄の時間。


夏休みに1度も遊んだことはなかった。


でも今年はなっちゃんがいる。


それに…。


私は隣のまだスネている杉浦くんをチラッと見る。


杉浦くんだっている。


それがどれだけ嬉しいか、なっちゃんはきっと分からないだろうな。


私は両手で口元を隠して、なっちゃんに微笑んで見せる。


なっちゃんは首を傾げながら笑って言った。


「キヨは不思議っ子だよ。たまに良く分からなくなるもん」


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