杉浦くんの手と私の手。
今まで無言を突き通していた杉浦くんは、私の頭に片手を置いた。


え?


私は首を傾げる。


すると杉浦くんは優しく微笑んで言った。


「1人でよく頑張ったな」


涙が一粒だけ落ちた。


すごく嬉しかったから。


そう、私は1人で頑張った。


何年も何年も父親に殴られ酷いことをされ。


それを見ても助けようともしない母親。


挙句に人の心の声まで聞こえるようになって。


そこから逃げ出せたわいいものの誰にも打ち明けず、ずっと1人で抱え込んでいた。


人に迷惑をかけちゃいけない。


拒絶されたくない。


私を嫌いにならないでほしい。
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