駆け出し☆陰陽師!!
第1章*雨の冷たさ
夕暮れ時の教室
この時間なら誰もいないはずだと思い、一人図書室を目指す
俺の名前は篠崎透、あることを除けば普通の高校1年生だ
「よし、予想通りだな」
図書室には見事に誰もいなかった
俺は図書室の一番奥に置かれている本棚まで行くとある一冊の本を手に取る
"東の国妖全図"
別に俺の趣味というわけではない
だが、読まなければならない理由が俺にはあった
「昨日の…あ、こいつか」
千ページを越える中から見つけ出したのは、蛇の目傘の軸を抜いて被っている一つ目の妖
"雨降小僧"だ
雨降小僧は中国の神に使える妖と言い伝えられていて、名付けの由縁が雨の夜に現れなにかを持っている様子から
同じく雨の夜に現れて豆腐を持っている"豆腐小僧"になぞらえたものだと言われている
特別害があるわけでも無いようなので放っておこう
なぜ普通の高校生である俺がこのようなことをするのかと疑問に思った人もいるかもしれない
だが、それを語るのはまた今度にしよう
なぜなら…
「ふふふ…みーぃっけ…」
こいつとリアル鬼ごっこの最中だからだ
こいつは先ほど職員室前を通るときにぶつかってしまった…所謂霊に価するものだ
しかもたちの悪いことに、ぶつかった人間に寄生するという習性をもつやつらしい
例えそれが見えていようと見えていまいと変わらず餌食になるようだった
「ったく…面倒くせぇな…」
本を本棚に直して鞄を手に持ち走り出す
これでも中学の時は陸上部だったから、足の早さに自信がある
…あるんだが…
「まちなさい…まて…まてってば…」
何分、相手は浮遊している上に障害物をもろともしないわけで距離は引き離すどころが縮まる一方
「誰が…待つかっ…っ」
このまま家へ逃げ帰っても意味がないだろう
せめて神社か寺があれば…
そう思うもそれらは今走っているのと逆方向に位置していた
「っくそ…」
生憎俺の体力もそろそろ限界を迎えそうになっている
…体力ないとか言うな、余計なお世話だ
「…こっち」
疲れて足が動かなくなってきた頃、誰かが俺の手を引いた
「…?どこ、いった…人間…にん、げん…」
俺を追いかけている霊の方も限界が近いのか、速度が落ちたうえに俺に気づいていないようだ
「助けてくれてありがと、ほんとにたすかっ…」
お礼をしようと手を握る人の方を向く
俺は目を奪われた
まるで海のように透けるような青い髪は長く、腰までしなやかに伸びていて
しかし瞳は髪と対となるような燃え上がる炎のような紅蓮の色だった
その上、整った顔立ちに中々のプロポーション、さらにはミステリアス雰囲気が一層彼女の美を引き立てる
人ではない事へのショック以前に
その美しいコントラストに、俺は魅せられていた
この時間なら誰もいないはずだと思い、一人図書室を目指す
俺の名前は篠崎透、あることを除けば普通の高校1年生だ
「よし、予想通りだな」
図書室には見事に誰もいなかった
俺は図書室の一番奥に置かれている本棚まで行くとある一冊の本を手に取る
"東の国妖全図"
別に俺の趣味というわけではない
だが、読まなければならない理由が俺にはあった
「昨日の…あ、こいつか」
千ページを越える中から見つけ出したのは、蛇の目傘の軸を抜いて被っている一つ目の妖
"雨降小僧"だ
雨降小僧は中国の神に使える妖と言い伝えられていて、名付けの由縁が雨の夜に現れなにかを持っている様子から
同じく雨の夜に現れて豆腐を持っている"豆腐小僧"になぞらえたものだと言われている
特別害があるわけでも無いようなので放っておこう
なぜ普通の高校生である俺がこのようなことをするのかと疑問に思った人もいるかもしれない
だが、それを語るのはまた今度にしよう
なぜなら…
「ふふふ…みーぃっけ…」
こいつとリアル鬼ごっこの最中だからだ
こいつは先ほど職員室前を通るときにぶつかってしまった…所謂霊に価するものだ
しかもたちの悪いことに、ぶつかった人間に寄生するという習性をもつやつらしい
例えそれが見えていようと見えていまいと変わらず餌食になるようだった
「ったく…面倒くせぇな…」
本を本棚に直して鞄を手に持ち走り出す
これでも中学の時は陸上部だったから、足の早さに自信がある
…あるんだが…
「まちなさい…まて…まてってば…」
何分、相手は浮遊している上に障害物をもろともしないわけで距離は引き離すどころが縮まる一方
「誰が…待つかっ…っ」
このまま家へ逃げ帰っても意味がないだろう
せめて神社か寺があれば…
そう思うもそれらは今走っているのと逆方向に位置していた
「っくそ…」
生憎俺の体力もそろそろ限界を迎えそうになっている
…体力ないとか言うな、余計なお世話だ
「…こっち」
疲れて足が動かなくなってきた頃、誰かが俺の手を引いた
「…?どこ、いった…人間…にん、げん…」
俺を追いかけている霊の方も限界が近いのか、速度が落ちたうえに俺に気づいていないようだ
「助けてくれてありがと、ほんとにたすかっ…」
お礼をしようと手を握る人の方を向く
俺は目を奪われた
まるで海のように透けるような青い髪は長く、腰までしなやかに伸びていて
しかし瞳は髪と対となるような燃え上がる炎のような紅蓮の色だった
その上、整った顔立ちに中々のプロポーション、さらにはミステリアス雰囲気が一層彼女の美を引き立てる
人ではない事へのショック以前に
その美しいコントラストに、俺は魅せられていた