君に咲く花火
「ううん・・・」

しぶっている。
簡単には無理だとは思ったけど、手ごわそう。

・・・これは、作戦変更だ。

私は、黙ってお箸を置くと、ひと息ついてから叫んだ。

「お父さんひどい!」

「え?えっ・・・?」

「お父さん、仕事が忙しくてどっこも連れて行ってくれないでしょ。高校1年生の夏休みっていったら遊べる最後の夏休みなのにっ。来年からは受験に向けて塾にも行かなくちゃだし。友達なんかハワイとかに家族旅行しているのにさ、私は夏休みの間ひとりぼっちなんだよ!」

そう言いながら、両手を顔に当てて泣くフリをした。

ちなみに来年塾に行くつもりはないんだけど。
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