君に咲く花火
「いや・・・しかし・・・」

目を白黒させてあせるお父さん。

もうひと押し!

「そりゃお父さんはいいよ。会社の社長なんだから仕事も楽しいだろうし、お母さんも手伝ってるんだから一緒にいられて。でも、私はひとりっきり」

「あ・・・あのな、実羽・・・」

「ああ、私はなんてかわいそうな子なの。大好きなお父さんに反対されるなんて!こんなに大好きだったのに!」

“だった”というところを過去形で強調するのがポイントだ。

お父さんは、あせってビールを飲み干すと、
「いや、お父さんは反対してないぞ。いいじゃないか、夏休みの思い出に行きなさい。おこずかいもあげるぞ」
とあわてて言った。
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