君に咲く花火
「僕がちょうどここに店を出そうか、と考えていたところでね。スーパーに日本人がいる、って聞いてスカウトしたわけなんだ」

渡辺社長がお姉ちゃんの言葉を受け継ぐ。

「ほんっと、社長のおかげでこうしてやってこれたんです。感謝しています」

もうお姉ちゃんは、鼻をグズグズいわせている。
ほんっと、泣き虫なんだから。

「いやいや、僕よりもソムサック君のほうが君の助けになってるだろう?」

からかうような口調の渡辺社長。

すぐに、お姉ちゃんは顔を真っ赤にして、
「いやだ。ソムサックの話はまた別ですよ! もうっ」
と、照れている。

しまいには、
「ここ、暑くない?」
と私に尋ねてくる。
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