君に咲く花火
女性が私に気づいて視線を向ける。

私もその顔をよく見る。


・・・。


「あー!」
「あああ!」

ほぼ同時に私たちは叫んだ。

この顔、このメガネ、そしてなによりもこの関西弁!

「空港で会った子やん! 奇遇やなー」
女性が先に声を出して、すぐさま私の両手を握るとブンブンと上下に激しく振った。

「あのときはお世話になりました。風麻由衣さんでしたよね?」

「なに、自分、覚えててくれたんかいな。ええ子やなぁ。・・・自分、なんて名前やっけ?」

「実羽です」

お姉ちゃんが、立ち上がって私のかわりに答えた。
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