君に咲く花火
渡辺社長が、助け舟を出すことを期待してそちらを見やる。

すぐに目が合って、大きくうなずいてくれた。

「いいじゃないか。せっかく来たのにここにいるだけじゃつまんないだろう。由衣君、頼んでいいかな」

「アイアイサー」
由衣さんが敬礼をすると、
「行こう」
と、私に言った。

空港の時と同じように、ほのかに香りがただよった。

「すてきな香水のにおい」

思わず目を閉じて私は言った。

「私も早く香水とかつけてみたいなぁ」
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