君に咲く花火
そう、私だってお姉ちゃんが海外に住んでいるなんて、昔なら想像できなかっただろう。

5つも歳が離れているのに、我が家では私の方が姉のような役割をしてきたから。

感傷的になるのもイヤだし、タイ航空のカウンターに私は足をすすめた。

「あのー、これ」

そう言いながら、“eチケット”を見せる。

「かしこまりました。パスポートもお願いします」

そこそこ美人のお姉さんが微笑んだ。

「はい」

パスポートを渡すと、なにやらカチャカチャとパソコンのキーボードを打ち出した。

スーツケースを、指示されたベルトコンベヤーのようなものに置くと、タグをつけて運ばれていく。

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