君に咲く花火
「ソムチャイ! うあああん」

私はウソ泣きをしながらウアンから離れ、ソムチャイに抱きつくと泣き声をあげた。

メオとその家族も走り寄り、両手で口を覆って驚きをかくせない顔をする。

ソムチャイが何かを怒鳴ると、必死の形相で両手を振りながらウアンが答える。

たぶん、否定の言葉だろうけど私にはわからないし。

それより、こんなに泣き声をあげているのに涙はやっぱり出ない。


私は、
「よし」
とソムチャイの耳元で言うと、ピタリと泣くのをやめて彼から離れた。

棚に置いてある携帯を取ると、停止ボタンを押してから保存をする。

ビデオで今の一部始終を録画していたのだ。
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