君に咲く花火
しばらく黙っていたウアンは、絞り出すような声で何かをソムチャイに言った。

そして、部下に支えられてようやく立ち上がると、私たちの前を通って店から出て行った。


すれ違う瞬間、ウアンの目が私を捕えた。


その目は怒りに満ちていたが、私は黙って見返した。

車がエンジンをかけて見えなくなると、
「ふう~」
体から力が一気に抜けてその場にしゃがみこんだ。

やばかった。

でも、なんとかうまくいったみたい。

全身汗だくで、マラソンでもしてきたみたいに息があがっていた。

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