君に咲く花火
「うわ、それ知らなかった! 聞くことができてよかったです」

半分の値段になるなんて、ぼったくりすぎ。
あぶないあぶない。

「じゃあね」
と、渡辺社長が歩き出そうとしたとき、気づいた。

「あ、あの」

「ん?」

「私がひとりで外に出てた、ってことはお姉ちゃんに内緒でお願いできますか?」

「ふふ。そういうことか。実羽ちゃんもやるねぇ」

急に渡辺社長がニヤッとニヒルな顔をした。

「は?」

「いや、理由は言わなくていいよ。大丈夫、おじさんこう見えて口がかたいから」

< 202 / 388 >

この作品をシェア

pagetop