君に咲く花火
店をのぞいてはみるけど、観光客のおみやげ屋ばかりなので、日本に持って帰るにはいいけど、タイの人にあげても・・・と思うようなものばかりだった。

たった5分歩いただけで、もうすでに後悔しはじめた私の気持ちはすでに、ホテルに向いている。

夜、お姉ちゃんと一緒に出直す?

いや、それはまずい。

ソムチャイにプレゼントする、なんて変に勘ぐられてしまうにきまってる。

「困ったな」

視線をあげた私の目に、またしても見知った顔が。

「由衣さん!」

ちょうど真正面に由衣さんが立っていたのだ。

由衣さんはギョッとしたような顔を一瞬してから、
「ああ、なんや、実羽ちゃんかいな」
と大声で驚きを表現した。

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