君に咲く花火
それなら良さそう。

できたばっかりなら、ソムチャイも行ってない可能性があるだろうし。

由衣さんは、サラサラと紙に地図を描いて渡してくれた。

「ああ、良かった。どうしようかと思ってたんですよ」

由衣さんは満足げにうなずくと、「でもな」と続けた。

「アルニーは、こっからすぐやけど、人通りの少ない通りなんや。地図書くけど、財布だけはしっかり持っときや。ウチがついてってあげれればいいんやけど、急ぎの仕事があってな」

「大丈夫ですよ。私、ダッシュで逃げますから」

「はは、その意気なら安心や」

由衣さんが去った後、地図の通りに歩き出す。
すぐに右の脇道にそれると、それまでの人通りがウソみたいに誰も歩いていない土道。

時折車が後ろから来ると、道のギリギリまで寄らないと通れないくらい。
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