君に咲く花火
「ぶ、早速ピンチですか」

普通の人なら、オロオロするところだろうけれど、私はこういう時ヘンに冷静になる。

「すみませーん」

その辺の人に声をかける。

「はい?」

サラリーマンらしき中年男性。
せわしなくメガネを指で直してる。

「タイに行きたいんですけど、どこかわかりますか?」

「タイ・・・さぁ、チケットに書いてるんじゃないの」

「チケット?」

そう言いながら、持っているチケットを見せる。

「ああ、あっちだね」

男性は私の右を指をさしたかと思うと、
「それじゃ」
と足早に歩いて行ってしまう。

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