君に咲く花火
「ちょ。ちょっと!」

もがいて声を出した時には私の体はシートに投げつけられた後だった。

すぐに隣に誰かが乗り込むと、強引に手を後ろにまわされる。

恐怖で体が硬直する。

いったい何が起きてるのかわからない。
金属の重なる音がして、後ろ手にまわされた腕は動かなくなった。

それが手錠だということを理解するのに時間はいらなかった。

「やだ、やだ、やだ!」

足をできるだけ動かすと、それを強い力で抑えつけられる。

殺される!?

知らずに体が震えだした。
車はスピードをあげて走り出したようだ。

シートに身体がひっつく。

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