君に咲く花火
「やめて・・・」

あごがカチカチ音をたて、止まらなかった。
汗は、暑いからじゃなく恐怖からの冷や汗。

となりの人は、私が暴れないことがわかったのか、押さえていた手を離した。

その時、私はあることに気づいた。


隣の人・・・。


「ね・・・ひょっとして・・・」

そこまで声に出したとき、なにかが強引に口に当てられた。
ツンと薬品の匂いがする。

「んーーーー!」

必死で逃れようとするが、あまりに強い力でひきはがせない。

ドラマとかではよく、なにかを嗅がされた人が瞬時に気を失う場面をよくやっているが、現実はぜんぜん違う。
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