君に咲く花火
「ソムチャイ、どうしたの?」

ソムチャイのあごが水につかっている。

手を伸ばしてその体をつかもうとするけれど、なぜか体が動かなかった。

「空はつながっている」

ソムチャイはそう言うと、水の中に沈んだ。

「ウソ、ウソ! ちょ、ソムチャイやめてよ!」

手を伸ばしたい。

手を。

それでもまったく体が動いてくれない。

一気に雨が頭上から降り出した。


激しく、水面を叩く。
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