君に咲く花火
「実羽、帰れない」

「え?」

「帰れないよ。ここ、いる」

アイスはぱたんと本を閉じた。

「・・・どういうこと?」

「実羽、ボス怒らせた。帰れない」

ボス・・・。

ボスって、ひょっとして・・・。

「ボスって、メオの店に来ていたウアンのこと?」

「・・・」

アイスはブックライトを消すと、足を組んで目を細めて私を見た。

「だ、だって・・・。あれは、仕方なかったの。ウアンは、メオの店にひどいことをしたんだから」

「ボス、怒ってた。実羽、怒らせた」
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