君に咲く花火
ふと、アイスの肩がふるえているのが見えた。
その震えはだんだん大きくなり、ついにこらえきれなくなったか、アイスは声に出して大笑いした。

「な、なにがおかしいのよ!?」

アイスはひとしきり笑うと、すぐにまた無表情に戻る。

「実羽、バカね。あんなレストラン、ボスはほしくないよ」

「・・・は?」

「ボス、ほしいの、プロイホテル」

「プロイ・・・、それ、ソムサックのホテルじゃん・・・」

「そう。ボス、プロイホテルほしい。安いお金で」

「そんな・・・」

背筋をなにか冷たいものが走り抜けたように、ゾクッとした。

「お金返さないメオ。だから、ソムサックが返す。返せないなら、売るしかないよ」
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