君に咲く花火
「あの、これなんですけど」

チケットを差し出すと、女性は、
「ああ、乗り場?」
と受け取って眺めた。

ふわりと香水が香り、なんだかリラックスした気分で私はうなずいた。

「ウチも同じ飛行機やで。一緒に行こうか」
と、小首をかしげた女性が、まるで救いの女神のように見えて私は胸をなでおろした。
関西弁の女神様だ。

女性について歩いてゆくと、そこにはたくさんの人があふれていた。

「もう、搭乗開始になってるみたいやわ。あれ、自分ビジネスクラスやんか。ウチはエコノミー」

そう言うと、女性はにっこり笑った。
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