君に咲く花火
アイスはまだ冷淡な笑みを浮かべたまま。

当然だ、と言わんばかりの言い方。

ホテルで白いワイシャツを着て微笑むソムサックの姿が頭に浮かぶ。

「最初っから・・・、プロイホテルを売らせるために・・・。だから、急に金額を多くして困らせたの? ひどい、ひどいよ!」

「・・・ひどい?」

「あなたたちがやってることは絶対に間違ってる。そんな卑怯なやり方で手に入れるなんてひどすぎる」

「そんなの、この国じゃ普通。日本人、なに言ってる」

怒りでふつふつと体が熱い。

みんな一生懸命がんばっているのに、あんまりだ。

その時、足音が聞こえたかと思うと、ドアの開く音がした。
それは重い金属のドアを開けるような音だった。

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