君に咲く花火
すぐに姿が見える。

スーツを着たウアンは、アイスのそばに来て彼女の肩に手を置く。

一瞬、アイスが顔をしかめたように見えたが、すぐに表情がもとに戻った。

なにかタイ語で話しているが、ウアンは私を見つめたまま。

なんとか立ち上がると、私は鉄格子の間からウアンを見返した。
この間のことを怒ったウアンが私を拉致したのは間違いない。

・・・そうとう怒ってるんだろうな。

ウアンが私に近づく。

無意識に、数歩後ろにあとずさった。

「な、なによ」

弱みは見せたくないけど、圧倒的不利な現状。
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